江戸東京野菜とは、東京で伝統的に生産されてきた野菜(固定種)で東京伝統野菜ともいいます。
江戸(今の東京)で栽培されている野菜の多くは、参勤交代などの際に種子を全国から運ばれ栽培されはじめました。その後、よりおいしく育てやすい野菜を栽培すべく長年にわたり良い品種だけを選んで種子を取得しつづけた末に確立(=固定種)された野菜です。
その後、(例えば中山道などの)街道沿いに種子屋があらわれ、手軽な江戸土産として江戸の野菜が全国各地へと運ばれていきました。例えば三河島菜は昭和初期には東京では栽培されなくなりましたが、近年の調査の結果で江戸から持ち出された種子が仙台に渡って芭蕉菜の名前で現存していたことがわかり、三河島菜の復活につながりました。
ところが明治以降の急速な都市の近代化による農地転用と栽培しやすく形の良いF1交配種の台頭により江戸東京野菜は姿を消しつつあった上に、さらに1972(昭和47)年の「三大都市とその市街化区域内に農地は不要」という政策によって東京の農地の減少が急激に加速しました。
しかし2008(平成20)年に国内食料自給率のアップがクローズアップされたことにより日本各地の伝統野菜が注目され始めました。その時の東京の自給率はわずか1%、全国最下位の自給率でした。東京の伝統野菜を絶やすまいと生産者・市場・町おこしなど様々なグループの方々の努力により絶滅したと思われた野菜の復活、テレビなどメディアを利用した伝統野菜の周知、軒先販売や注文販売をはじめとした伝統野菜の普及活動、などにより徐々にみなさまに認知されつつあり、近くのスーパーなどで見かける日も遠くない未来に訪れるかもしれません。
固定種とF1品種
F1品種とは、「一代交配種」「雑種第一代」と呼ばれ、遺伝子的に遠い品種を掛け合わせることにより作られた種子のことです。掛け合わせといっても遺伝子操作ではなくイメージとしては同じアブラナ科である小松菜のめしべに青梗菜の花粉を掛け合わせるというような作業をすることで種子を採取します。F1品種は発育も形も均一で安定して収穫することができ栽培しやすい野菜ですが、安定して栽培できる性質は2代目(=F2)には出現せず形がバラバラだったり病気に弱かったりと安定しないことから種子を採るメリットがなく、翌年栽培する際にはまた種子屋から種子を買うことになります。
逆に固定種は、何世代にもわたって良い品種だけを選んで種子を採り続けてきたものです。固定種はF1品種のようにすべての発育や形が均一ではなく形がいびつなものが出現することも多々ありF1品種に比べて栽培は難しくなります。ですがF1品種の2代目ほど大きく性質が変化することはなく2代目以降も同じ野菜を栽培することができるので自家採種が容易に行えます。
どんな野菜があるの?
あなたへのおすすめ